
- 代表機関:国立遺伝学研究所 生物遺伝資源センター
- 課題管理者:齋藤 都暁
- FAX:055-981-6825
- 分担機関①:京都工芸繊維大学 ショウジョウバエ遺伝資源研究部門
- 分担機関②:杏林大学 医学部
目的と実施体制
ショウジョウバエは生命科学の研究材料として110年の歴史を持ち、大量飼育の容易さや世代時間の短さに加え、1)組織、器官など個体体制の複雑さに比してゲノムがコンパクト、2)個体レベルの生命現象を遺伝子・ゲノムの機能から解析可能、3)ゲノム配列に対するアノテーションの正確さと組織や発生段階での種々の遺伝子発現データの蓄積、4)改変遺伝子導入やその条件的発現調節などの遺伝子工学的手法の発達、といった長所が挙げられます。
本プロジェクトでは、さまざまなショウジョウバエの生体及びDNAクローンといった遺伝資源を総合的に維持・管理し、研究コニュニティーに広く提供することを目的としています。代表機関である国立遺伝学研究所と分担機関である京都工芸繊維大学、杏林大学が生体リソースの収集・保存・提供を、分担機関の宮崎大学がDNAリソースの凍結保存を担当します。第3期までの15年間で世界最大規模にまで発展したストックセンターとして国際的な責任を果たすと共に、時代の要請に応えたリソースの収集と質の向上を目指し、ユーザーコミュニティーの先端的研究活動を加速することに貢献します。
提供リソース
突然変異系統、ゲノム編集関連系統(FlyCas9)やRNA干渉(RNAi)系統、ショウジョウバエ野生種やキイロショウジョウバエ近縁種の突然変異系統など、約45,000系統を保持しています。また、各種 cDNA・ゲノムDNAクローン、Cas9プラスミドも、合わせて約26万種類揃っています。国立遺伝学研究所では、RNAi系統やFlyCas9系統を、京都工芸繊維大学ではキイロショウジョウバエ野生・変異体系統ならびに遺伝子組換え系統を、杏林大学では近縁種の野生・変異体系統ならびにトランスジェニック系統を中心に収集・保存・提供を行っています。
ショウジョウバエでは、13,936個のタンパク質コード遺伝子の約7割がヒト遺伝子とのホモロジーを持つのみならず、遺伝子ネットワークの保存性もあり、近年は疾病の基盤的研究の材料としても多く使用されています(Nature 542: 246-250, 2017)。また、近縁種との種間雑種の致死、不妊、性比歪みなどの種分化機構において、ショウジョウバエの先端的研究手法による解明が期待されています(Trends Genet 33: 68-80, 2017)。さらに、ショウジョウバエはプロテオーム解析研究が発展しているリソースでもあります(Nature Genet 38: 1440-1445, 2006)。
リソース関連プログラム課題
【ゲノム情報等整備プログラム】
2018年度 | ショウジョウバエ・ゲノム編集系統の配列情報整備 |
2015年度 | 多様な特性を持つショウジョウバエ種のゲノム配列(2) |
2014年度 | 多様な特性を持つショウジョウバエ種のゲノム配列 |
2014年度 | 系統の品質管理にむけたゲノム・特性情報整備 |
2002年度-2005年度 | ゲノム情報 – 成果:ゲノム情報等整備プログラム:2002年度-2006年度 |
【基盤技術整備プログラム】
2020年度-2021年度 | ショウジョウバエ凍結保存技術の高度化と検証 |
2017年度-2018年度 | 系統保存の高信頼化の復元を可能にする基盤技術整備 |
2016年度 | ショウジョウバエ極細胞の凍結保存法の開発 |
2012年度-2013年度 | ショウジョウバエ系統凍結保存法の開発 |
2007年度-2009年度 | ショウジョウバエ系統の長期安定保存技術の開発 |