
- 代表機関:広島大学大学院 統合生命科学研究科 附属植物遺伝子保管実験施設
- 課題管理者:草場 信
- FAX:082-424-0738
- 分担機関①:高知大学 教育研究部自然科学系農学部門
目的と実施体制
キク科は全被子植物の約10分の1にあたる23,000種以上を含み、最も繁栄している植物群のひとつです。その中でキク属及びその近縁属「広義キク属」は高次倍数体化と雑種化を伴った特徴的な進化を遂げ、多くの日本固有種が存在する一方、絶滅危惧種も少なくありません。キク属(Chrysanthemum属)に属する栽培ギク(C. morifolium)は世界3大花きに数えられ、我が国の切り花生産の1/3を占める産業的にも重要な種です。また、広義キク属にはキク属の他に、ヨモギ属などの様々な薬理作用を示す二次代謝物を生産する種が多く含まれています。
NBRP広義キク属は、東アジア地域に分布するキク属の世界最多の系統数を収集・保存し、研究用リソースとして配布しています。一方、キク属植物の持つ自家不和合性(自分の花粉を雌しべに受粉させても種子が採れない性質)と高次倍数性は純系系統の作製をはじめ、栽培ギクの品種改良を含めた遺伝学的研究を行う上で大きな障害です。NBRP広義キク属の代表機関である広島大学が単離した二倍体野生ギクであるキクタニギク(C. seticuspe)の自家和合性突然変異体AEV2系統は、これら障害の克服に非常に有用です。第4期NBRPでは、AEV2系統の自殖により得られた純系系統Gojo-0(図1)の全ゲノム塩基配列情報の取得や遺伝子発現情報などの付与による栽培ギクに対するリファレンスリソースとしての高度化などを行い、広義キク属植物研究における分子遺伝学的研究基盤の整備を実施します。
提供リソース
キク属を中心とした約500の野生系統と、キクタニギク近交系や種間雑種などから成る約60の実験系統の提供を行っています。また、自殖性のAEV2系統やモデル系統Gojo-0系統を利用して得られる様々な実験系統も開発中です。
リソース関連プログラム課題
【ゲノム情報等整備プログラム】
2018年度 | ロングリードを用いたキク属モデル系統のゲノム解析 |