

- 代表機関:国立遺伝学研究所 生物遺伝資源センター
- 課題管理者:仁木 宏典
- FAX:055-981-6826
- 分担機関①:九州大学 大学院薬学研究院
目的と実施体制
原核生物である大腸菌は、研究材料として活発に利用され、その蓄積された生物学的知識及び遺伝学・生化学・分子生物学的実験手法は突出しています。ヒトを含む真核生物の生命活動に共通した基本的な遺伝子の多くは、大腸菌でも保存されていることから、今後もあらゆる生物のモデル生物として、極めて重要なリソースです。さらに大腸菌は産業レベルの生産菌としての重要な側面も持ち合わせています。枯草菌は、グラム陽性の土壌性細菌であり、グラム陰性の腸内細菌である大腸菌とは異なる生物特性を有することから、原核細胞の重要なモデル生物となっています。また、様々な分解酵素の工業的生産などにも利用されています。
NBRP原核生物では、国立遺伝学研究所を代表機関として、国内で開発された大腸菌と枯草菌のリソースやファージ、抗体等の収集・保管・提供を行い、分担機関である九州大学がリソースのバックアップを担当します。第4期NBRPでは、菌株の変異部位情報及びプラスミド物理地図の公開による各リソースの付加価値向上と、遺伝子・菌株・遺伝子地図情報の統合によるデータベースの利便性の向上を図り、より機能的な情報提供に努めます。
提供リソース
分譲しているリソースは、すべて非病原性の系統で、大腸菌はK12株、枯草菌は168株に由来します。大腸菌では、変異系統株(約15,000種:網羅的遺伝子欠損株やトランスポゾン破壊株等)や遺伝子クローン(約19,000種: HisタグやGFPの付加あり)の提供を行っています。また、iVEC超簡単クローニング用宿主株(J Bacteriol 201: e00660-18 2019)等のクローニングリソース(ベクター約470種と宿主株約80種)やファージ、抗体の提供も可能です。枯草菌では、網羅的な遺伝子変異・破壊株(約7,200種;約4,000遺伝子の薬剤カセット置換型DNAバーコード菌株コレクション(Cell Syst 4: 291-305.e7, 2017)含む)や染色体欠損株(約350種)と遺伝子クローン(約4,400種)の提供が可能です。