【論文紹介|ゼブラフィッシュ/メダカ】精子を室温で保存する画期的な技術が発表されました

NBRPゼブラフィッシュの運営委員会メンバーである国立遺伝学研究所の酒井則良 准教授の研究グループが、新たな研究論文において、ゼブラフィッシュとメダカの精子を室温で保存する画期的な技術を発表しました。この方法を使うと精子懸濁液を0.5 ml tubeに入れて封筒で郵送可能です。

小型魚類遺伝研究室では、ゼブラフィッシュ生殖細胞培養系における知見をもとに、ゼブラフィッシュ精子を長期間室温保存できる培養液の開発に取り組みました。その結果、大気中でpHが安定するL-15培養液に、50 Units/mlペニシリン/50 µg/ml ストレプトマイシン、25 mMグルコース、3%ウシ胎児血清、0.5% (w/v) 牛血清アルブミン、0.1 mM乳酸、10 mM Hepes (pH 7.9), 22% 滅菌MilliQ水を加えることで、少なくとも4週間ゼブラフィッシュ精子を室温で保存できることがわかりました。また、メダカの精子も乳酸濃度を2倍に上げることで、少なくとも1週間は保存できることがわかりました。

この方法を用いると、精子懸濁液を0.5ml tubeに入れて封筒で輸送することが可能になり、実際に、イスラエルのHebrew University of JerusalemおよびアメリカのUniversity of California, Davisから輸送した精子が受精することを確認しました。変異体等の貴重なリソースを安価に輸送できるため、国際的なリソースの共有に役立つことが期待されます。

本研究成果は、2023年12月14日付で科学誌「Zebrafish」オンライン版に掲載されました。

国立遺伝学研究所HPによる論文紹介はこちらです。

(論文詳細)
“In vitro storage of functional sperm at room temperature in zebrafish and medaka”
Takemoto K, Nishimura T, Kawasaki T, Imai Y, Levy K, Hart N, Olaya I, Burgess SM, Elkouby YM, Tanaka M, Sakai N.
Zebrafish 誌.
2023年12月14日online掲載

このページの先頭へ戻る